藤野幸雄氏(元図書館情報大学副学長) 受賞のことば

藤野幸雄氏 はじめに大変縁起の悪い話ですが、本年初めから最近に至るまで私は知人友人を続けてなくしました。

 それで大変気が沈んでいたところに今回このフォーラムの受賞という話をいただきまして、気分が盛り返すまでとはいきませんけれど、持ち直しました。改めてみなさんにお礼を申し上げたいと思います。

 ここにいらっしゃる皆さんのうちのほとんどの方、大勢の方は長い付き合いがあります。私がよほど長生きということになるのかもしれませんが、こうしてお目にかかれる機会をいただけたことにも感謝しております。

 たとえば先ほど紹介をいただきました戸田先生、彼は、私が大学を出て、国際文化会館というところに勤め始めた50数年前、慶應の学生で慶應から次々に私の図書館を手伝いに来てくださった最初のうちの一人であります。その後ずっと続けて何人もの方が手伝ってくださいましたけれど、特にお世話になったということがあります。

 それから、やはり50年ほど前になるかと思いますけれど、末吉さん。私が初めて知ったときには既にもう経団連図書館の顔でありまして、大変な活躍ぶり、そして私自身も啓蒙していただいたものであります。

 私自身、最近耳が聞こえなくなりまして、ほとんど家に居りますけれど、大したことをやっておりません。

 つまり、耳が悪くなると電話が通じなくなる。TVが聞こえなくなると同時に音楽が音だけでありまして、駄目であります。となりますと今生きているのは目だけであります。もうすでに棺桶に片足を突っ込んでいるようなものでありますけれど、この機会に気力を持ち直してなにかやろうかと思っております。私自身は、好きなことだけをやってきましたので、それを続けられたらと考えております。

 1つだけ申し上げたいのは、今度ここに居られます末吉先生、彼が大変なアイデア男でありますから、今度この人がなんか引退したような話を聞きましたが、そんなことは許せないのであって、もっと活用してしかるべきであろうと思います。本日はそのために発破をかけに来たわけであります。簡単ではありますが、私自身は、まだまだ生きられるかどうかわかりませんけれど、末吉さんは、「末、よし」でありまして更に長生きでき、良い仕事ができると考えております。続けてがんばっていただくと同時にこういう人をほっておく手はありません。まだ続けて活躍なさることを期待しております。本日はありがとうございました。