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第18回図書館サポートフォーラム賞受賞者(2016/4/18授賞式)

icon 水谷長志 表彰委員長講評

埼玉県立久喜図書館
 埼玉県立久喜図書館長・及川孝之氏埼玉県立久喜図書館は国立国会図書館レファレンス協同データベースの最初期より参加し、県内の他の県立図書館と連携しながら多分野にわたるレファレンス事例を登録し続け、今日、自他ともに「日本一!」を誇る成果を提供している。数値的に見るならば、平成26年度末において、累積登録点数「25,962」、年間登録点数「1,277」、被参照件数「2,017,711」となっている。国立国会図書館のWebサイトで「データ総登録数15万件突破記念ページ」は平成27年7月に公開されているが、久喜図書館は実にその約17%超を担ってきたことになる。ちなみに平成27年3月時点の参加館は656館。埼玉県立久喜図書館のデータ被参照件数は、国立国会図書館を除き、平成20年度より8年連続全国一、累積登録点数は国立国会図書館に次ぎ、第2位である。このような実績を支えている理念は、埼玉県立図書館が重点目標の一つである課題解決支援機能の強化として県民の専門的な調査研究活動を支援するため、レファレンスサービスを推進するとしていることからも顕著である。以上に見られる継続的なレファレンス活動は県立図書館の使命を良く示しており図書館サポートフォーラム賞にふさわしく、高く評価して表彰するものである。

 受賞の言葉 


田川 浩之氏(金沢文圃閣 代表)
 田川浩之氏田川氏は北陸の古都金沢において古書店を営むとともに、書籍・出版・図書館・書誌・戦時期文化史資料などに関わって他にない出版活動を展開している。特色的な数例を挙げてみるならば、出版・書誌・書物メディア史の「文圃文献類従」には、田川氏ご自身の解題になる全2巻の『出版情報(戦時占領期出版関係史料集)』、天野敬太郎の「書誌の書誌」を完結せしめた『日本書誌の書誌-社会科学編(主題編3)』があり、「図書館学古典翻訳セレクション」には、ガブリエル・ノーデ『図書館設立のための助言(品切)』やピアス・バトラー『図書館学/印刷史著作集』ほかの藤野幸雄父子による訳書がある。ちなみに故藤野幸雄氏は2009年第11回の本賞を受賞されている。さらに2001年第3回本賞の受賞者である深井人詩氏の先導によって2001年以来の年刊書誌雑誌『文献探索人』、そして『文献探索人叢書』の刊行を続けられるなど、図書館員による書誌・年譜編纂の成果公開のための貴重な場を提供していることは、図書館員の自己研鑽へ向けての大きな支援、エールであると考えられる。この事業自体、図書館の外から図書館と図書館人をサポートする、まさに図書館サポートフォーラム賞にふさわしく、高く評価して表彰するものである。

 受賞の言葉 


手代木てしろぎ 俊一氏(立教大学立教学院史資料センター員)
 手代木俊一氏手代木氏は中央大学文学部哲学科を昭和48年に卒業され、神戸女学院大学、フェリス女学院大学、国際基督教大学、立教大学、明治学院大学など多くのキリスト教系私学の図書館あるいは研究資料センターに勤務され、勤務のかたわらキリスト教礼拝音楽学会の発起人の一人となり、機関誌『礼拝音楽研究』を創刊、日本近代史における讃美歌、聖歌史研究の書誌等基礎資料の編纂と研究成果の公表に多大な業績を残されている。特に2010年に刊行の『日本讃美歌・聖歌 研究書誌』は、明治初期に遡って同主題の網羅的書誌として類例のない業績である。例えば、冒頭にある書誌の一項、いささか長いのであるが、を紹介するならば、1880年(明治13年)、「Suggestions for a Japanese Rendering of the Psalms」Basil Hall Chamberlain, 『Transaction of Asiatic Society in Japan』Vol. 8, Pt.3(4月)[B.H.チェンバーレン 詩篇日本語訳への提言 及び試訳『讃美歌』〈韻文訳詩篇〉」手代木俊一訳『フェリス女学院大学音楽学部紀要』第1号(1995年1月)、『讃美歌・聖歌と日本の近代』(音楽之友社 1999年11月)に改定収録]というものであり、その精緻さ、時間の掛けようは容易に理解されるであろう。本書誌は音楽史のみならず日本近代史研究に広く活用され得るべきものと言えるのであり、長年にわたる研鑽は優れた図書館員の姿勢の典型として図書館サポートフォーラム賞にふさわしく、高く評価して表彰するものである。

 受賞の言葉 

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