本日は、栄えある図書館サポートフォーラム賞を頂戴し、誠にありがとうございます。
この賞の趣旨である、ユニークで社会的に意義のある各種図書館活動を表彰するという内容にふさわしいかどうか、自信はありませんが、試行錯誤しながらやってきたことをこの場を借りてご紹介し、これまで支えていただいた多くの方々、賞を推薦いただいた関係者の皆様へのお礼とさせていただきます。
まず、70年代に企業の中に図書・資料室を創設し、80年代には冊子体の図書・雑誌の管理と並行してデータベースを導入し、電子化を進めました。データベースの普及を社内にとどまらず、社外にも目を向け、地域の企業の集まりに自社の活用事例を紹介し、データベースの導入メリットを企業活動の延長上に社会活動へと展開しました。最初は、和歌山テクノ財団、次に、門真市ロータリークラブの集まりへ「企業で活躍するインフォメーションサーチャー」というテーマで、少ない投資で効率的な情報収集ができるツールとサーチャーという職種の女性の活躍ぶりを紹介しました。いずれも、普段は図書館や情報機関とは殆ど縁のない中小企業の経営者や管理者に紹介しましたが、講演後は反響が大きく握手攻めにあいました。
多くの企業は、ベンダーのすすめによってデータベースの導入を進めてきましたが、技術的なことはマスターしたけれど、それを戦略的に業務にどのように生かすのか、明快な答えが分らないということを聞きましたので、調査分析した事例を紹介し活用のヒントを提供してきました。
データベース全盛期の1985年に社団法人情報科学技術協会は、情報検索技術者認定試験を創設し、情報を効果的に検索し、活用するための基礎的知識・技術の保有者を認定し、社会的認識を高める事業を進めてきました。 協会の役員として試験に伴う研修セミナーを企画し、講師を20数回以上続けてきました。当初、この試験の受験者は企業の人が殆どでしたが、最近では図書館員も司書に最も近い資格として、受験者が急増しています。ある公共図書館では、職員全員合格を目指し、特別セミナーの要請もあり、関心も高まっています。
企業を退職後、近畿大学、桃山学院大学等9大学にも及び非常勤講師として、企業の図書室の運営実績をベースに、主として「情報検索演習」、「専門資料論」、「情報サービス概説」等の講義を担当しています。また、学生には前述の「情報検索基礎能力試験」の認定取得をすすめ、毎年数十人の合格者を輩出し、図書館員として即戦力のある人材育成に努めています。
最近では、誰もがインターネット検索をする時代ですが、情報専門家の図書館員には、一味違う検索を手掛けるノウハウをマスターし、図書館の利用者の相談に対応するスキルを身につけてもらうため、主として図書館派遣スタッフや一般企業の情報担当初心者向けに、「情報源としてのインターネットの活用法」を講演し、多様なメディアに対応できる情報マンの育成を手掛けています。
以上、データベースやインターネット情報源の活用を促す情報リテラシー教育を通じて、PRと人材育成に努めてまいりました。
これまで会社の上司や先輩、同僚、部下並びに社外の情報機関の専門家など、多くの方々の支援を得て仕事を続けてまいりました。これからは、サポートする側になって、情報の仕事は面白いと思える人を増やし、豊かな社会形成に役立ちたいと思っています。
ありがとうございました。