この度は名誉ある賞をいただき、誠にありがとうございます。
130年前、二人のベルギー人が、世界から集めた文献を整理しようと、国際書誌学会(IIB)を作って、国際十進分類法(UDC)を開発・採用。その後、国際ドクメンテーション連盟(FID)を経て、現在、UDCコンソーシアム(UDCC)が国際的な管理・普及をしております。
UDCは、図書などより詳細な内容の記事、論文などのように、詳細に限定された主題を持つ資料などの整理と検索に役立つように作られた多次元的検索の手段として発達したもので、系統的な階層的かつ多観点分類法です。標数(番号)の組み合わせ、多様な記号を駆使しての、多面的で精密な主題表現が可能であり、数字という万国共通の検索言語として、現在、世界130カ国、3万の図書館・情報センターで使用され、世界で最も使用されている分類法の一つです。
日本では、昭和の初期から使用され、本格的には、戦後の1950年のUDC協会(現在の情報科学技術協会・INFOSTA)創設後に多く使われるようになっています。
2002年に「UDC日本語CD-ROM版」(約6万項目)が発行されたのですが、2004年にINFOSTAのUDC事業からの撤退、同時にUDCCを退会したのに伴い、CD-ROM版も絶版となってしまいました。以来、10年間、日本における分類表の管理と発行をする機関がなくなってしまいました。UDCを使っている機関から困ったとの声を聞いて、これはまずい、何とかしなければということで、UDC普及の一環として、UDCCからの「UDC Summary版」の翻訳版発行の呼びかけに応じて、日本語版作成を引き受けた次第です。
翻訳の作業には、INFOSTA内の「分類/シソーラス/Indexing部会」有志の協力を得て、2014年春に完成、UDCCに送付して、2014年9月からオンラインで見られるようになりました。
わずか2,600項目の要約版ではありますが、配架用のほか、図書館学教育・研究、情報の組織化や検索にかかわるいろいろな目的のためのデモ版として活用できます。
しかし、専門的な資料の分類には不足です。そこで、せめて1万項目程度の実用版(英語簡略版の翻訳)を出したい、と目下計画中です。個人レベルでの活動には限界がありますが、皆様のご理解とご支援・ご協力をいただいて、問題を解決してまいりたいと思っています。
最後に、今回の受賞を一層の励みとし、更なるUDCの発展に少なからず貢献できるよう努力してまいります。
【参考文献】
戸塚隆哉、光富健一、山ア久道.UDC日本語要約版の公開とUDCの最近の動向について.TP&Dフォーラムシリーズ整理技術・情報管理研究論集.2015.05, 第24号,p.53-66.