【受賞のことば】
肥田美代子でございます。考えてみますと、小学校時代の皆勤賞以来、賞らしきものをもらった記憶がありません。国会議員生活は衆・参合わせて15年間になります。児童文学の先輩では、山本有三さんという大家が参議院にいらしたそうです。
私は野党議員でしたが、政権与党をこっぴどくせめたてるのが苦手で、あえて超党派の皆さんに御協力いただける仕事をしてまいりました。読書関連の二つの法律も、国際子ども図書館の設立も、その流れの中で出来たものです。
私が政治生活に終止符を打って後、この二つの法律を、民間の力で実体化していこうという動きが出てまいりまして、財団法人「文字活字推進機構」が立ち上がりました。昨年10月のことです。
会長は資生堂の名誉会長の福原義春さん、副会長はペンクラブ会長の阿刀田高さん。理事長は私ということで出発しました。その設立の際の基金集めに智恵を貸して下さったのが末吉哲郎さんだったのです。東京都写真美術館の寄附集めに奔走された実績があったからです。
この機構の面白いところは、新聞、出版、図書館という活字文化に直接関係の深い団体のみならず、自動車や電機、医療や、広告、放送、労働組合までが「一緒にやろう!」といって下さったことです。まさに異業種間の連携が生まれたのです。
言葉の劣化、日本語の衰退が、今、日本の最大の問題だと、皆が認識しはじめたということです。言葉は人を作り、人は言葉によって生きていきます。そこのところが危うくなれば国は滅びます。どんなに経済が豊かになってもです。
私達、一人一人が「言葉の輝く国・日本」づくりをめざして何かをしなければいけない、そんな気がしています。幸い、今日から、私も皆様のお仲間に入れていただけるようです。図書館にかける皆さんの情熱を、私も少しだけ分けてもらって、力いっぱい仕事をしてまいりたいと思っています。
それにつけても生まれて初めての賞をいただいたことは何よりの喜びでございます。本当にありがとうございました。 |