【受賞のことば】
今お二人のご挨拶を聞いておりますと、私のような者がこの賞をいただいていいのかなという気がしてきまして、ここに立っていていいのかなという気持ちがますます強くなってきております。最初、全く信じられませんでした。私は早とちりがしばしばあるものですから、家に帰って妻に言いますと、それは何かの間違いだろうと(一同笑)言われまして、私の方も何かの間違いだろうと思っていたのですけれども、そのうち何人かの方に、おめでとうございますというお言葉をいただいたりお電話をいただいたりしまして、これはひょっとして本当かもしれないぞと思い始めておりました。ただ、今日家に帰ってこういう盾を見せても、妻は信じてくれないのではないかと思うんですけれども。
ただ、お二人のお仕事に比べますと、私は駆け出しといいますか、専門の勉強をした訳ではないので、社会に何ほどの影響を与えたのかなと考えてみますと本当に、やっと始まったくらいの感じかなと自分では思っております。
そもそもは古文書の記事を書くために、国文学研究資料館の大友一雄先生をお訪ねしましたら、学習院大学でアーカイブズのシンポジウムがあるので来ませんかというお話をいただいた。シンポジウムを取材させていただいて、日本は中国や韓国に比べてアーカイブズの面では大きくおくれをとっていることを知り、文化面の「文化往来」というコラムに書きました。そしたら、それを読んだ当時官房長官の福田康夫さんがびっくりして、歴史的に重要な公文書を保存・活用するための整備を進める目的で懇談会をおつくりになった。その座長をお務めになったのが高山正也先生です。そんなことからアーカイブズに関連する記事を書くようになりました。
実はそういう記事を書くにつれ、この世界は本当に、アーカイブズということだけでなくて、図書館、それから博物館、全部含めて非常に繋がりが太く深くてしかも広がりがある、ということがだんだん分かってまいりました。結構記事を書いているなあと自分でもたまには思うのですが、それでも書かなければいけないことのまだまだ半分も書いていない感じがいたしておりました。
そういう意味で言いますと、今日いただいた賞は、末吉さんも山崎先生も仰っておりましたけれども、これから頑張るようにという意味でいただいたのだと思って、これを機会にこれからますます記事をたくさん書いて、少しでも日本の社会が将来に向けて、何がしかでも明るいものになっていけるように努力したいと思っております。今日はありがとうございました。 |