第1回 図書館サポートフォーラム賞受賞

藤田 幸弘 氏

(前銀行協会図書館長)

【全国銀行協会銀行図書館ウェブサイト】
【授賞理由】
 明治以来の銀行の統廃合の変遷はおびただしいものがあるが、従来その正確なデータは集積されていなかった。東京銀行協会・銀行図書館は、その所蔵資料、関係文献を克明に調査し、その成果を「本邦銀行変遷史」(1998.9刊)として刊行した。藤田氏は前館長としてこのプロジェクトを率先実行し、一件ごとのデータシート約6,000枚を5年間で作成するなど貢献した。このデータは出版物の他データベース化してさらに蓄積され、わが国の銀行史研究の根幹をなす情報源として位置づけられる。
 また本作業はアンケート調査やヒヤリングでなく図書館蔵書や文献資料に基づくもので、データは文献の裏づけのある正確なものであって、図書館のレファレンス調査の成果として評価される。
藤田幸弘氏 【受賞のことば】
 私は、昨年の4月に銀行協会を退職しました。私が勤務しておりました銀行協会の銀行図書館は明治30年に設立され、平成9年1月に100周年を迎えました。今回、表彰の対象になりましたデータベースの仕事も、100周年を記念した事業でした。
 銀行協会には昔から、古い銀行についてのいろいろな問い合わせがあります。例えば、家の中から古い預金通帳が出てきたが、預け先の銀行が今の銀行には見当たらない、ですとか、不動産取引で対象物件に現在の銀行には無い名称の銀行名で抵当権がついている、また現存の銀行自身が行史を編纂するときに、前身銀行あるいは合併した銀行の来歴を確認したい、と、さまざまです。その都度、資料を探して回答すると、時には1日、場合によっては数日とられてしまうこともありました。問い合わせに答えるのは、レファレンス業務として当然のことですが、ほかの日常業務の中でいろいろ支障もあり、どうにかして効率的な調べができる体制を整備することができないものかと考えていました。明治以降設立された銀行の数は、4,500くらいと推定しています。そのすべての銀行についての設立、合併、消滅といった移動の状況を的確に迅速に検索し得るツールを、ぜひ作りたいということです。
 私自身、若いうちからこういったものを作りたい、と願望しておりましたし、それに今から5年前に定年になり、あと5年間は嘱託という立場になりましたので、時間的、客観的に、この仕事をすべき立場の人間は私をおいて他にはいないのではないかという自負で、仕事をしました。お陰様で、昨年3月までのデータを含んで、仕事を成し終えました。
 補正は、後輩のスタッフの努力に期待したいと思います。本日はどうもありがとうございました。

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