連載200回のご挨拶

 「最近の書誌図書関係文献」は、連載200回目の節目を迎えました。「節目」と申しましたが、数字自体に特別の意味があるわけではなく、単なる通過点にすぎません。しかし、連載を長く継続できましたことは、日頃お世話になっている皆様のおかげと深く感謝しております。引き続きよろしくご愛顧ください。

2024年9月13日 有木太一

凡 例

 : 他件名・書誌表示・編者略 ks : 菊判
〈 〉 : 書誌部分編者 46s : 四六判
p1-3b : 後付部分に書誌があって、頁付がある場合 p7」 : 第7頁1頁のみのもの
3pb : 後付部分に書誌があって、頁付がない場合 89p : 全頁
 : 図書単行書誌 prr : 各章末

第200回:件名編(2024年9月)

キーワード 書誌表示 編著者名 『書名 巻次』/「誌名 巻.号.通号」 発行所 発行年月 掲載頁
宇宙旅行 参考文献 ジョンソンL 『人類は宇宙のどこまで旅できるのか : これからの「遠い恒星への旅」の科学とテクノロジー』 東洋経済新報社 2024.6 p1-10b
外来動物 参考文献 羽澄俊裕 『外来動物対策のゆくえ : 生物多様性保全とニュー・ワイルド論』 東京大出版会 2024.6 p1-4b
カエル 引用文献 長井孝紀 『渇いたカエル : カエルたちの水対策』 八坂書房 2024.6 p117-122
科学 原注参考文献 シュミルV 『SIZE : 世界の真実は「大きさ」でわかる』 NHK出版 2024.6 p380-332
科学教育 参考にしたい図書紹介 溝邊和成 『感じてひらく子どもの「かがく」』 ミネルヴァ書房 2024.6 p123-132
額縁 参考文献 長谷川純子 『イタリア・ルネサンスにおける額縁の誕生 : タブローの起源』 行人社 2024.6 p5-14b
参考文献 ザ・ヒストリック・テキスタイル・リサーチ・ファウンデーション 『世界の絣 : その技術の起源と伝播』 グラフィック社 2024.6 p238-239
共産主義 参考文献 <中村万里子> 『二人のウラジーミル : レーニンとプーチン』 藤原書店 2024.6 p230-233
行司 参考文献 根間弘海 『大相撲の方向性と行司番付再訪』 専修大出版局 2024.6 p285-289
建設業 参考文献 阿部守 『最新建設業界の動向とカラクリがよ~くわかる本 : 業界人、就職、転職に役立つ情報満載! 5版』 秀和システム 2024.6 p248-250
元素 参考文献 揚げ鶏々 『元素楽章 : 擬人化でわかる元素の世界 : 元素は、世界だ』 化学同人 2024.6 p146-147
建築 参考文献 NoMaDoS 『アニメオタクの一級建築士が建築の面白さを徹底解剖する本。』 彩図社 2024.6 p204-206
コウジカビ 参考文献* 石鼎裕* 『麹 : つくりかたから活用法まで : 世界で進化する日本の発酵カルチャー』 グラフィック社 2024.6 p294-298
国際政治 参考文献 上野貴弘 『グリーン戦争 : 気候変動の国際政治』 中央公論新社 2024.6 p301-296
黒人 書誌 サラ=モランスL 『黒人法典 : フランス黒人奴隷制の法的虚無』 明石書店 2024.6 p479-473
古代文明 参考文献 <青柳秀夫> 『失われた古代文明 : 歴史に消えた40の民族』 河出書房新社 2024.6 p278-280
国歌 参考文献 上尾信也 『国歌 : 勝者の音楽史』 春秋社 2024.6 p40-43b
古墳 参考文献 和田晴吾 『古墳と埴輪』 岩波書店 2024.6 p1-5b
裁判 参考文献 柿沼陽平 『岳麓書院蔵秦簡「為獄等状四種」訳注 : 裁判記録からみる戦国末期の秦 下』 平凡社 2024.6 p232-262
参考文献 マクガヴァンPE 『再現!古代ビールの考古学 : 化学×考古学×現代クラフトビールが醸しだす世界古代ビールを辿る旅』 築地書館 2024.6 p344-339
産婦人科学 参考文献 クレグホーンE 『さまよう子宮 : ジェンダーバイアスによる医学と神話の大罪』 G.B. 2024.6 p509-511
時間・空間 参考文献 吉田伸夫 『「時間」はなぜ存在するのか : 最新科学から迫る宇宙・時空の謎』 SBクリエイティブ 2024.6 p247-245
色彩 参考文献 江崎泰子 『色彩から読み解く「源氏物語」』 亜紀書房 2024.6 p252-254
自治会 参考文献 玉野和志 『町内会 : コミュニティからみる日本近代』 筑摩書房 2024.6 p179-186
写真家 引用文献一覧 日高優 『日本写真論 : 近代と格闘した三巨人』 講談社 2024.6 p326-335
授乳 引用参考文献 山川不二子 『ミルキーママの妊娠中からはじめるおっぱいケア : 自分でできる痛くない授乳のコツ』 合同出版 2024.6 p170-171
植民地行政 参考文献 平井健介 『日本統治下の台湾 : 開発・植民地主義・主体性』 名古屋大出版会 2024.6 p12-29b
人生訓 参考図書* 樺沢紫苑 『19歳までに手に入れる7つの武器』 幻冬舎 2024.6 2pb
人類遺伝学 参考文献 杉田繁夫 『遺伝子からたどる日本の歴史と起源』 緑書房 2024.6 p258-262
神話 参考文献 中丸禎子 『巨人フィンの物語 : 北欧・日本巨人伝承の時空』 三弥井書店 2024.6 p53-57
参考文献 ナゴスキーE 『私たちのセクシュアル・ウェルネス : 女性の体・性・快楽のメカニズム』 日経ナショナルジオグラフィック 2024.6 p524-507
性格 参考文献 西剛志 『「おとなしい人」の完全成功マニュアル : 内向型の強みを活かして人生を切り拓く方法』 ダイヤモンド社 2024.6 17pb
性教育 参考文献 おおたとしまさ 『男子校の性教育2.0』 中央公論新社 2024.6 p219-222
台所 参考文献 阿古真理 『日本の台所とキッチン一〇〇年物語』 平凡社 2024.6 p368-373
ツチノコ 記事番組そして書籍 今井友樹 『ツチノコ撮影日誌 : 令和の「幻のヘンビ」伝説』 はる書房 2024.6 p226-229
伝記 参考文献 真山知幸 『実はすごかった!?嫌われ偉人伝』 日本能率協会マネジメントセンター 2024.6 p171-173
天皇制 参考文献 新川登亀男 『創られた「天皇」号 : 君主称号の古代史』 吉川弘文館 2024.6 p343-350
同性愛 参考文献 ツヴェッコヴィッチA 『感情のアーカイヴ : トラウマ、セクシュアリティ、レズビアンの公的文化』 花伝社 2024.6 p11-31b
童謡 参考文献 目黒稚子* 『会津のわらべうた : わらべうたを子ども達へ』 歴史春秋出版 2024.6 p85-86
内部監査 参考文献 蟹江章* 『内部監査の理論と実践』 税務経理協会 2024.6 p151-152
ハエ 参考文献一覧 熊澤辰徳 『ハエハンドブック』 文一総合出版 2024.6 p173-176
物流管理 参考文献 森隆行 『CLOの仕事 : 物流統括管理者は物流部長とどう違うのか?』 同文舘出版 2024.6 p257-258
平面幾何学 参考文献 谷岡一郎* 『ペンローズの幾何学 : 対称性から黄金比、アインシュタイン・タイルまで』 講談社 2024.6 p201-202
平和 引用文献参考文献 前川仁之 『平和道 : 人類1万年の歩みに学ぶ』 集英社インターナショナル 2024.6 p370-381
編集 参考文献一覧 宮沢厚雄 『編集の実務と印刷・紙・製本』 樹村房 2024.6 p220-222
密教 参考文献 武藤郁子 『空海と密教解剖図鑑 : 万華鏡のような魅力と教えを紐解く』 エクスナレッジ 2024.6 p210-211
ミツバチ 参考資料 有沢重雄 『もしもミツバチが世界から消えてしまったら』 旬報社 2024.6 p181-186
民間信仰 参考文献 二階堂善弘 『中国の信仰世界と道教 : 神・仏・仙人』 吉川弘文館 2024.6 p220-225
錬金術 参考文献 吉村正和 『図説錬金術 : 歴史と実践』 河出書房新社 2024.6 p119-118
労働 参考文献 勅使川原真衣 『働くということ : 「能力主義」を超えて』 集英社 2024.6 p255-258

  • TOP

有木太一(ありき・ふとし)略歴

 1968年11月、東京都杉並区の産婦人科で生まれ、世田谷区で乳幼児期を過ごし、小学校入学時に群馬県に移る。市立の小・中学校と県立の高校を卒業し、少し長い浪人期間を経て、早稲田大学第二文学部(現文化構想学部・文学部)に入学。“大学5年生”の時、図書館司書資格関係の講座を受講し、深井人詩・中西裕両先生に師事。この縁で、2018年2月「最近の書誌図書関係文献」を引き継ぐことになった。また、『書誌年鑑』2016・2017年版で編集作業を見習い、2018年版から編者に就任した。現在は東京都特別区西部在住。

 これまで連載を続けられた中西裕先生は、連載開始から満10周年となる2018年1月をもってご勇退されました。2008年2月からの10年間、本当にお疲れさまでした。この2月からは、有木太一が担当します。未熟者ですが微力を尽くしますので、よろしくお願いいたします。体裁や掲載ルールなどは、基本的にこれまでと同じです。

2018年2月

  • TOP

2008年「最近の書誌図書関係文献」再開にあたって (中西裕)

 『日本古書通信』誌で長期にわたって連載され、昨年7月をもって終了した「最近の書誌図書関係文献」が日外アソシエーツ社のご厚意でここに復活することとなった。

 歴史をたどってみると、書誌学者天野敬太郎が昭和15年に連載を始め、戦争が激しくなったために昭和19年に中断、10年のブランクを経て戦後昭和29年に再開されている。天野は昭和42年に手を引き、深井人詩氏にバトンタッチされた。その後渡辺美好が共編者となった時期を経て、最後に中西が引き継ぐこととなった。中断期間はあるものの、想像を絶するほど長い時代にわたって、この連載は書誌の世界を眺めてきたことになる。

 再開される本連載では『日本古書通信』誌での形式を基本的にすべて踏襲することとした。したがって、ここで紹介していくのは新しく編まれた書誌・目録である。1冊全体が書誌であるものはもちろん、研究書に収められた参考文献なども対象とする。あるいは著作家の伝記に付けられた年譜も著作物が記されていれば採録することとする。もうひとつの柱である「図書関係文献」は年に1回程度とりあげることとなろう。唯一異なるのは書名等の長さに制限を加える必要がなくなったことぐらいである。

 Webの世界に親しんでいない方にご覧いただけないのは残念である。携帯電話を持たず、電子辞書も敬遠している、本質的に活字人間である編者としては、できることなら印刷媒体での再開を企図していたのが正直なところだが、時代は想像以上に進んでいる。昨秋、新語事典が1種を残して刊行休止と伝えられたのは象徴的な事態であった。Web上での新語検索が主流となったことによるという。暮になると店頭に山のように詰まれていた新語辞典を見ることがもうなくなるのかと思うと、まことに寂しい。>

 ともあれ、こうして再開されることは編者にとってもまことにありがたいことである。1年間の「書誌の書誌」を集積した『書誌年鑑』を発行する出版社のホームページ上で連載できることはあらゆる意味で願ってもないことである。ぜひご活用いただき、あわせて漏れているもののご指摘などを伺えるとすれば、Webでの公開の意義も高まることであろう。

2008年2月15日 中西 裕

中西裕(なかにし・ゆたか)略歴

 昭和25年6月28日生。東京都出身。早稲田大学第一文学部日本史専修卒。早稲田大学図書館に勤務。平成13年3月退職。同年4月、昭和女子大学短期大学部助教授、平成27年3月、昭和女子大学人間社会学部教授を最後に退職。現在、国士舘大学、昭和女子大学、早稲田大学非常勤講師。 図書館情報学の中でもレファレンス・サービスの基礎となる「書誌の書誌」の作成および図書館史を中心に研究。 編著書に『書誌年鑑』、『日本雑誌総目次要覧』、『ホームズ翻訳への道:延原謙評伝 』、論文等に「天野敬太郎の書誌観」、「天岩屋神話と謡曲「絵馬」」、「音楽を聴く津田左右吉」など。

2015年4月現在

  • TOP